§ヴォイス1 ミカとハルと放課後に ーーー

「で?ドコに連れてってくるのかな?」

 放課後、いつもはハズカシイからと、一緒に帰ることのないミカがハルのもとへ駆け寄ってきた。

「え?何?」
「オイ!ばかハルト!あんたが昨日言ったんでしょ!クリスマスの日一緒にいたいって!」
「あ、ああ。そうか、そうだった」

 もちろんハルは忘れているハズは無かった。しかし、思い切っての告白の後の今だから、なんとなく、緊張してしまっていた。それを知ってか、知らずかミカはいつもどおり腕を掴んだりしてきて、その胸が当たるのだ。

「……あんた、やる気あるの?」
「や、ヤル気だなんて……」
「おーい!なに赤くなってんのよ!変な想像するんなら行かないからね!」
「ウソ!ウソ!ウソ!冗談だよ」

 ハルは自分でも顔が火のように熱くなっているのを感じ、腕を払うと一生懸命真面目な顔をしてみせた。

「な、なんかさ、ほら、街に出ようよ。ヒルズのライトアップを見てさ、表参道行ったりしてさ」
「まさか……ノープランじゃないでしょうね?」
「い、いやあ。だってほら、誰だっけ、あのタクヤさんだっけ?街中でパーティやるとか言ってるやつ。それを目撃できたら、いいかなあ、なんて思ってさ」
「……ノープラン……」
「いや、もうひとつ、とっておきのプランがあるからさ。期待しててよ!」
「期待しないで待つわよ」




§ヴォイス2 コミュニティ『シェオル』
 ーーー

--いいかい?羽根を持たない僕らが飛ぶためには位置エネルギーが必要なんだ。
より高く、より遠くへ飛ぶためには、より高い場所こそ有利ってわけさ
その前に、我々には大事な使命がある。より多くの同胞、仲間たちにこのことを知らせるんだ。君たちは一人じゃない……と--



§ヴォイス3 都心のとあるバーにて
 ーーー

「それでタッくん何をするんだ?そろそろ時間がないぜ?」
「うーん、そうだなあ~どうしよう?」
「え?こ、この期に及んで何も考えてないとか?」
「い、いやあ、言ってりゃなんとかなる!ってのが俺のポリシーだからなあ、とりあえず、なんかある。何かが起こる!って言ってみんなを集めりゃなんとかなるって」
「えーーーーー本当に?」
「俺を信じろ!」
「そ、それを言われると……よっし!じゃ、片っ端から声をかけて回りますよ!」
「よし、そーしてくれ。あと、声を集めてくれ、どんな小さなくだらなそうな声でもいい、そーいった積み重ねが世界を動かすんだからな」
「了解っす!」



§ヴォイス4 郊外のアパートメント
 ーーー

「お兄ちゃん、今年はさ、出かけようよ!」
「で、でも……」
「大丈夫!別に高いお店で食事とか言わないからさ!」
「お家でクリスマスも素敵だけど、街にでたら、街のデコレーションすべてが私達のモノになるのよ!素敵じゃない?」
「よ、よし。分かった。そうしよう。母さんの見舞いの後でな」
「うん!」



§ヴォイス5 アフター5の刑事
 ーーー

「まったく、マコトだけ非番じゃ、どーしようもないわね」

 マコトとは日向刑事のファーストネームだ。

「言うなよ陽子……さん?」
「もう!ふざけてないで!しょうがないでしょ!楠瀬君に見つかったら、たちまち署内に広まってどちらかが別の場所に飛ばされちゃうんだから!」
「ん、ああ。そうだったな。俺とお前が付き合ってるだなんて楠瀬のバカは気づきもしないだろうがな……」
「まあ、何もなければパトロールを早く切り上げて、いつものところで、ね?」
「ああ、本当に、何もないとイイがな」





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