--決めた……私も……とぶ--

 平日の昼だというのに、カーテンを閉めきった薄暗い室内で、パソコンのキーボードを打つ音が響いている。

--死んでしまうのかい?キキ--

 モニター画面上で、犬のアイコンがそう言った。

--そう……なのかなあ~分からないけど……一人じゃないし……ね?ユウト--
--ああ……俺もいくさ--

 黒ネコアイコンのキキが言うと、犬アイコンのユウトが答えた。

--希望をもって絶望の淵へとジャップするというのか……面白い--

 キキの部屋よりもさらに暗く、真夜中の闇のような空間の中で、ニヤリと笑う口元がモニターの光に浮かんでいる。ドクロのアイコン、つまりこのコミュニティ『シェオル』の管理人Dだ。

--ボクも参加します--
--私もいいですか?--
--ひとりじゃ……ない……もの……--

 すると続々と賛同の声が、いや言葉が続いた。

--忘れてはいけないよ。Xday、ボクらは逃げ出すのではない。次のステージへ行くんだ--

 懸命に生きようとする者がいる。もしくは、なんとなく生きていようとする者がいる。それが正常だと多くの人は言う。しかし同時に、なんとなく死んでみようと思う者もいるのだ。
 えてして『生きたがり』は『死にたがり』を蔑み、『死にたがり』は『生きたがり』を妬みながらも死にきれず、居心地の悪い生をなんとなく過ごすしか無かった。『シェオル』は、そんななんとなくの『死にたがり』の受け皿であった。それが今、Xdayの噂に呼応し、積極的な集団行動に出ようとしていた。


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